iPhoneのデュアルSIM機能で、会社支給の回線と個人の回線を併用している方が増えています。その際、どちらを「主回線」に設定するかは重要な選択です。
「主回線を個人にするメリットは?」「会社と個人の回線、どちらを主にすべき?」「設定方法は?」「勤務時間外は会社の回線をオフにできる?」「データ通信は個人回線を使いたい」といった疑問を持つ方も多いはずです。主回線の設定により、通話やデータ通信の使い勝手が大きく変わります。
本記事では、主回線を個人にする具体的な設定方法、会社回線と個人回線の使い分け戦略、プライバシー保護の方法、勤務時間外の管理、データ通信の最適化、トラブル対処法、そして実際の活用例まで、包括的に解説していきます。会社と個人の回線を上手に使い分けたい方、主回線設定で悩んでいる方の参考にしていただければ幸いです。
主回線・個人回線の基本概念
主回線と副回線の違い
iPhoneのデュアルSIMにおける「主回線」「副回線」の概念を理解しましょう。
主回線・副回線とは
重要なポイント iPhoneの設定画面では、実際には「主回線」「副回線」という固定的な区別はありません。
実際の仕組み
- 2つの回線に名前を付ける(例:「会社」「個人」)
- 各機能(通話、データ通信など)で、どちらの回線を使うか個別に設定
主回線という呼び方の意味
一般的に「主回線」と呼ばれるのは、以下の設定で選択された回線です。
1. デフォルトの音声回線 通話を発信する際、標準で使用される回線
2. モバイルデータ通信 インターネット接続に使用される回線
3. デフォルトのメッセージ回線 SMSやiMessageを送信する際に使用される回線
これらで選択された回線が、「メインで使う回線」という意味で「主回線」と呼ばれます。
設定可能な項目
デュアルSIM使用時、以下を個別に設定できます。
1. デフォルトの音声回線
- 発信時に使う回線
- 選択肢:会社回線、個人回線
2. モバイルデータ通信
- インターネット接続に使う回線
- 選択肢:会社回線、個人回線
3. デフォルトのメッセージ回線
- SMS/iMessage送信時に使う回線
- 選択肢:会社回線、個人回線、または両方
4. モバイルデータ通信の切り替えを許可
- 通話中にもう一方の回線でデータ通信を許可するか
- 選択肢:オン、オフ
「主回線を個人にする」の意味
実務的な意味 デフォルトの音声回線とモバイルデータ通信の両方、または一方を個人回線に設定することを指します。
例1:完全に個人を主回線にする
- デフォルトの音声回線:個人
- モバイルデータ通信:個人
- デフォルトのメッセージ回線:個人
例2:通話は会社、データは個人
- デフォルトの音声回線:会社
- モバイルデータ通信:個人
- デフォルトのメッセージ回線:個人
柔軟な設定が可能 用途に応じて、自由に組み合わせられます。
回線の名称設定
わかりやすい名前を付けることが重要です。
推奨される名前
- 「会社」と「個人」
- 「仕事」と「プライベート」
- 会社名と「個人」(例:「ABC商事」と「個人」)
- キャリア名(例:「ドコモ」と「楽天」)
変更方法 設定 > モバイル通信 > 回線名をタップ > モバイル通信プランの名称
両方の回線で着信可能
重要なポイント 主回線・副回線の設定に関わらず、両方の回線で着信を受けられます。
例
- デフォルトの音声回線:個人
- 会社回線にかかってきた電話:着信する
- 個人回線にかかってきた電話:着信する
どちらにかかってきても対応できます。
発信時の動作
デフォルトの音声回線が使用される 通常、電話アプリから発信すると、設定したデフォルトの音声回線が使われます。
例
- デフォルトの音声回線:個人
- 電話をかける → 個人回線から発信
手動で回線を選択することも可能 発信ボタンを長押しすると、回線を選択できます。
連絡先ごとに優先回線を設定 特定の連絡先には、常に特定の回線を使うよう設定できます。
会社回線と個人回線の使い分け
会社から支給された回線と個人の回線をどう使い分けるか、基本的な考え方を説明します。
使い分けのパターン
パターン1:完全分離
- 会社回線:仕事関連のみ
- 個人回線:プライベートのみ
設定例
- デフォルトの音声回線:個人
- 会社の取引先への発信時のみ手動で会社回線を選択
- モバイルデータ通信:個人
メリット
- 仕事とプライベートが明確に分離
- プライバシー保護
パターン2:通話は会社、データは個人
- 会社回線:通話のみ(定額プラン活用)
- 個人回線:データ通信(大容量・無制限プラン活用)
設定例
- デフォルトの音声回線:会社
- モバイルデータ通信:個人
メリット
- 通話は会社の定額プランで無制限
- データ通信は個人の大容量プランで快適
- コスト最適化
パターン3:勤務時間で切り替え
- 勤務時間中:会社回線をメイン
- 勤務時間外:個人回線をメイン
設定例
- 朝:デフォルトの音声回線を会社に設定
- 夕方:デフォルトの音声回線を個人に設定
- または、会社回線をオフにする
メリット
- 勤務時間外のプライベート確保
- 仕事とプライベートのメリハリ
パターン4:データは会社、通話は使い分け
- 会社回線:データ通信(会社契約で無制限)
- 個人回線:プライベート通話
設定例
- モバイルデータ通信:会社
- デフォルトの音声回線:個人
メリット
- 会社のデータプランを活用(会社負担)
- プライベート通話は個人回線で分離
注意 会社の規定を確認してください(私的利用が許可されているか)。
考慮すべき要素
1. 会社の規定
- 会社支給の回線の私的利用は許可されているか
- データ通信の私的利用は?
- 通話記録は監視されているか?
2. 料金プラン
- 会社回線:通話定額? データ容量は?
- 個人回線:通話定額? データ容量は?
3. 通信品質
- どちらのキャリアの電波が良いか
- 5G対応状況は?
4. プライバシー
- 会社にプライベートの通話・通信を知られたくない
- 個人回線を主にする傾向
5. 利便性
- どちらの番号を主に使いたいか
- 取引先に伝えている番号は?
推奨される使い分け(一般的なケース)
基本方針
- モバイルデータ通信:個人回線
- プライバシー保護
- 自由に使える
- デフォルトの音声回線:状況による
- 仕事中心なら会社回線
- プライベート中心なら個人回線
柔軟に調整 状況や時間帯に応じて、設定を変更できます。
連絡先の管理
仕事関連の連絡先
- 優先回線:会社回線
- 連絡先アプリで個別設定
プライベートの連絡先
- 優先回線:個人回線
設定方法(後述) 連絡先アプリで、各連絡先に優先回線を設定できます。
主回線設定のメリット・デメリット
主回線を個人にする場合と会社にする場合の、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
主回線を個人にする場合
メリット
1. プライバシー保護
- データ通信の内容が会社に知られない
- アクセスしたWebサイト、使用したアプリが私的
- 通話記録も個人管理
2. 自由な利用
- 会社の規定を気にせず自由に使える
- データ容量も自分のプラン
3. 勤務時間外の分離
- 個人回線が主なので、勤務時間外は会社回線をオフにしやすい
- 仕事とプライベートのメリハリ
4. 長期的な一貫性
- 転職しても個人回線の番号は変わらない
- 知人・家族への番号通知が一貫
5. コスト管理
- 個人のプランを自分で選べる
- 最適なプランで節約
デメリット
1. 個人負担
- データ通信料金が個人負担
- 会社の無制限プランが使えない場合、コスト増
2. 仕事の電話で個人番号を使う
- デフォルトが個人なので、うっかり個人番号で仕事の電話をかけてしまう可能性
- 手動で回線を選択する手間
3. 通話品質
- 個人回線のキャリアによっては、通話品質が劣る場合も
主回線を会社にする場合
メリット
1. 仕事での利便性
- 取引先への発信が会社回線で統一
- 通話定額プランがあれば、仕事の電話も気兼ねなく
2. コスト削減
- データ通信や通話が会社負担(会社のプランを使う)
- 個人負担が減る
3. 通信品質
- 会社が契約している大手キャリアなら、通話品質が高い
4. 一貫性
- 仕事関連はすべて会社回線で統一
- 管理がシンプル
デメリット
1. プライバシーの懸念
- データ通信の内容が会社に把握される可能性
- 通話記録も会社に管理される
2. 私的利用の制限
- 会社の規定により、私的利用が禁止または制限
- 自由に使えない
3. 勤務時間外も監視?
- 会社回線を主に使うと、勤務時間外の通信も記録される
- プライベートとの境界が曖昧
4. 転職時の変更
- 転職すると会社回線の番号が変わる
- 知人への番号変更通知が必要
5. データ容量の制限
- 会社のプランがデータ容量制限ありの場合、不便
比較表
項目 | 主回線:個人 | 主回線:会社 |
---|---|---|
プライバシー | ◎ 保護される | △ 懸念あり |
コスト | △ 個人負担 | ◎ 会社負担 |
仕事の利便性 | △ 手動選択必要 | ◎ 自動で会社回線 |
自由度 | ◎ 自由に使える | △ 制限あり |
転職時の影響 | ◎ 変わらない | △ 番号変更 |
推奨される選択
プライバシー重視 → 主回線:個人
- データ通信を個人回線に設定
- プライベートを守る
コスト重視 → 主回線:会社
- 会社のデータプランを活用
- ただし、会社の規定を確認
バランス型 → 使い分け
- データ通信:個人
- 音声通話:会社(仕事中心の場合)
- 柔軟に組み合わせ
個人的な意見 多くの人にとって、データ通信は個人回線、通話は状況に応じてという設定が最もバランスが良いでしょう。
主回線を個人に設定する方法
基本設定の手順
主回線(デフォルトの音声回線とモバイルデータ通信)を個人回線に設定する具体的な手順を説明します。
前提条件
- 既に会社回線と個人回線の両方が設定済み
- 回線名を「会社」「個人」などわかりやすい名前に変更済み
手順1:モバイルデータ通信を個人回線に設定
設定方法
- 設定アプリを開く
- モバイル通信をタップ
- モバイルデータ通信をタップ
- 個人回線を選択
効果 インターネット接続(Web閲覧、アプリのデータ通信、動画視聴など)は、すべて個人回線を使用します。
確認方法 設定 > モバイル通信 で、「モバイルデータ通信」に「個人」と表示されていることを確認します。
手順2:デフォルトの音声回線を個人回線に設定
設定方法
- 設定アプリを開く
- モバイル通信をタップ
- デフォルトの音声回線をタップ
- 個人回線を選択
効果 電話アプリから発信する際、デフォルトで個人回線が使用されます。
確認方法 設定 > モバイル通信 で、「デフォルトの音声回線」に「個人」と表示されていることを確認します。
手順3:デフォルトのメッセージ回線を設定(任意)
SMS/iMessageを送信する際の回線を設定します。
設定方法
- 設定アプリを開く
- モバイル通信をタップ
- 各回線の設定で、iMessageとFaceTimeの設定を確認
または
- 設定アプリを開く
- メッセージをタップ
- iMessage送受信で使用する回線を確認
推奨設定 個人回線をメインにする場合、iMessageとFaceTimeも個人回線に設定します。
手順4:モバイルデータ通信の切り替えを許可(任意)
通話中に、もう一方の回線でデータ通信を許可するかを設定します。
設定方法
- 設定アプリを開く
- モバイル通信をタップ
- 会社回線(データ通信に使っていない方)をタップ
- モバイルデータ通信の切り替えを許可をオンまたはオフ
オンの場合
- 個人回線で通話中、会社回線でデータ通信可能
- 逆も同様
オフの場合
- 通話中はデータ通信不可(Wi-Fiは利用可能)
推奨
- プライバシー重視:オフ
- 利便性重視:オン
手順5:設定完了の確認
確認項目
- モバイルデータ通信:個人
- デフォルトの音声回線:個人
- (任意)モバイルデータ通信の切り替えを許可:オンまたはオフ
ステータスバーで確認 画面上部のステータスバーに、両方の回線の電波状況が表示されます。
表示例
- 左上:個人(5G、電波4本)
- 右上:会社(4G、電波3本)
発信テスト
動作確認
- 電話アプリを開く
- 適当な番号(自分の別の電話など)に発信
- 発信中、画面上部に「個人で通話中」と表示されるか確認
正常動作 個人回線から発信されていれば、設定成功です。
注意点
会社回線にかかってきた電話 設定に関わらず、会社回線にかかってきた電話は、会社回線で着信します。
会社の取引先への発信 個人回線から発信すると、相手に個人の番号が通知されます。
- 仕事関連の発信は、手動で会社回線を選択(後述)
- または、連絡先に優先回線を設定(後述)
連絡先ごとの回線設定
特定の連絡先には常に特定の回線を使用するよう設定する方法です。
連絡先ごとの優先回線設定
機能 連絡先アプリで、各連絡先に「優先回線」を設定できます。
効果 その連絡先に発信する際、自動的に設定した回線が使用されます。
設定手順
手順1:連絡先アプリを開く 「連絡先」アプリをタップします。
手順2:連絡先を選択 設定したい連絡先(例:会社の取引先)を選択します。
手順3:編集モードにする 右上の編集をタップします。
手順4:優先回線を設定
- 下にスクロール
- 優先回線をタップ
- 会社または個人を選択
- 右上の完了をタップ
効果 次回、その連絡先に電話をかける際、設定した回線が自動的に使用されます。
活用例
仕事関連の連絡先
- 取引先A:優先回線「会社」
- 取引先B:優先回線「会社」
- 上司:優先回線「会社」
プライベートの連絡先
- 家族:優先回線「個人」
- 友人:優先回線「個人」
設定のメリット
1. 自動的に正しい回線を使用
- 仕事の電話は会社回線
- プライベートの電話は個人回線
- 間違えるリスクなし
2. 手間が省ける
- 毎回手動で回線を選択する必要なし
3. 番号の一貫性
- 相手には常に同じ番号から発信される
一括設定の方法
残念ながら、iPhoneには連絡先を一括で優先回線に設定する公式機能はありません。
代替手段
- 重要な連絡先から順に個別設定
- または、発信時に手動で回線を選択(次項)
注意点
優先回線が設定されていない連絡先 デフォルトの音声回線が使用されます。
着信時 優先回線の設定は発信時のみ有効で、着信時には影響しません。
- 会社回線にかかってきた電話:会社回線で着信
- 個人回線にかかってきた電話:個人回線で着信
発信時の回線選択
発信時に手動で回線を選択する方法です。
方法1:発信ボタンを長押し
連絡先ごとの優先回線を設定していない場合、または一時的に別の回線を使いたい場合、手動で選択できます。
手順
- 電話アプリを開く
- 番号を入力、または連絡先を選択
- 発信ボタン(緑色の電話マーク)を長押し
- 会社または個人を選択
- 選択した回線で発信
表示 発信ボタンを長押しすると、「会社で発信」「個人で発信」の選択肢が表示されます。
方法2:連絡先から選択
連絡先アプリから発信する場合、回線を選択できます。
手順
- 連絡先アプリを開く
- 発信したい連絡先を選択
- 電話番号の下に「会社で発信」「個人で発信」のオプションが表示される
- 希望する回線をタップ
- 選択した回線で発信
方法3:通話履歴から
電話アプリの履歴からも、回線を選択して発信できます。
手順
- 電話アプリの「履歴」タブを開く
- 発信したい履歴をタップ(電話マークではなく、名前や番号をタップ)
- 連絡先情報が表示される
- 「会社で発信」「個人で発信」から選択
通話中の表示
使用している回線の確認 通話中、画面上部に使用している回線名が表示されます。
例
- 「会社で通話中」
- 「個人で通話中」
間違えた場合 一度切って、正しい回線でかけ直してください。
実用的な使い方
デフォルトの音声回線:個人に設定しておき、仕事関連の発信のみ手動で会社回線を選択する
手順
- 通常の発信:個人回線(デフォルト)
- 仕事の発信:発信ボタンを長押しして会社回線を選択
メリット
- プライベートがメイン
- 仕事の電話も会社回線で対応可能
重要な仕事関連の連絡先には優先回線を設定 前述の方法で、取引先などには「優先回線:会社」を設定しておけば、手動選択の手間が省けます。
勤務時間外の管理
会社回線のオン・オフ切り替え
勤務時間外に会社回線を一時的にオフにする方法です。
会社回線をオフにする方法
手順
- 設定アプリを開く
- モバイル通信をタップ
- 会社回線をタップ
- この回線をオンにするをオフにする
効果
- 会社回線での着信・発信が不可
- データ通信も会社回線は使用不可
- 個人回線は通常通り使用可能
再度オンにする 同じ手順で「この回線をオンにする」をオンにします。
使用シーン
1. 退勤後
- 勤務時間終了後、会社回線をオフ
- プライベート時間の確保
2. 週末・休日
- 休日は会社回線をオフ
- 仕事とプライベートのメリハリ
3. 休暇中
- 長期休暇中は会社回線をオフ
- ただし、緊急連絡用に一部の時間だけオンにすることも
メリット
1. 精神的な区切り
- 仕事から完全に離れられる
- リフレッシュ
2. 着信の遮断
- 勤務時間外の会社からの電話を避ける
- ワークライフバランス
3. バッテリー節約
- 使わない回線をオフにすることで、わずかにバッテリー節約
デメリット・注意点
1. 緊急連絡を受けられない
- 本当に重要な電話も受けられない
- 上司や会社の方針を確認
2. 手動切り替えの手間
- 毎日オン・オフを切り替えるのは手間
3. 会社の方針
- 会社によっては、常にオンにしておくことが求められる場合も
自動化の検討(ショートカットアプリ)
iPhoneの「ショートカット」アプリを使って、自動化を試みることもできますが、制限があります。
制限
- 回線のオン・オフを直接自動化することはできない
- 設定画面へのショートカットを作成することは可能
代替手段
- 時刻によるリマインダー(「19時になったら会社回線をオフにする」とリマインド)
- 手動でオン・オフを習慣化
おやすみモード(集中モード)との併用
おやすみモード 通知やバイブレーションを制限する機能です。
設定方法 設定 > 集中モード > おやすみモード
効果
- 電話の着信音が鳴らない
- 通知が表示されない
ただし
- 回線自体はオンのまま
- 着信履歴には残る
組み合わせ
- 会社回線をオフ(着信自体を拒否)
- おやすみモードもオン(個人回線の通知も制限)
おやすみモード・集中モードの活用
勤務時間外にiPhoneの通知を管理する方法です。
おやすみモード(集中モード)とは
iOS 15以降、「おやすみモード」は「集中モード」に統合されました。
機能
- 通知を制限
- 着信を制限
- 特定の人やアプリのみ許可
設定方法
iOS 15以降
- 設定 > 集中モード
- おやすみモード、または新しい集中モードを作成
カスタマイズ可能
- 許可する人(連絡先)
- 許可するアプリ
- 自動有効化(時刻、場所、アプリ起動時)
会社回線の通知を制限
方法1:会社回線からの着信を制限
残念ながら、集中モードで特定の回線(SIM)からの着信のみを制限する直接的な機能はありません。
代替手段
- 会社回線をオフにする(前述)
- または、仕事関連の連絡先を除外(後述)
方法2:仕事関連の連絡先を制限
手順
- 設定 > 集中モード > おやすみモード(または新規作成)
- 「連絡先」をタップ
- 「許可する連絡先」を設定
- 許可しない(すべての着信を制限)
- または、家族など特定の人のみ許可
効果 仕事関連の連絡先からの着信は通知されません(着信履歴には残ります)。
方法3:勤務時間外の集中モードを作成
カスタム集中モード 「プライベートタイム」などの名前で、勤務時間外専用の集中モードを作成します。
設定例
- 名前:プライベートタイム
- 許可する連絡先:家族、友人
- 許可しない連絡先:仕事関連
- 自動有効化:平日19時〜翌朝8時、土日終日
効果 勤務時間外は自動的に仕事の通知が制限されます。
緊急時の対応
繰り返しの着信 集中モードの設定で「繰り返しの着信」をオンにすると、同じ人から3分以内に2回目の着信があった場合、通知されます。
設定方法 集中モード > おやすみモード > 繰り返しの着信 をオン
効果 本当に緊急の電話には対応できます。
メリット
1. 柔軟な管理
- 完全にオフにしなくても、通知を制限できる
- 緊急時には対応可能
2. 自動化
- 時刻や場所で自動有効化
- 手動切り替え不要
3. 複数のモード
- 「仕事」「プライベート」「睡眠」など、複数の集中モードを作成
デメリット
1. 設定が複雑
- 初期設定に手間がかかる
2. 着信自体は届く
- 通知が制限されるだけで、着信履歴には残る
- 完全に遮断するには、回線をオフにする必要
推奨される設定
バランス型
- 平日勤務時間外:集中モードで仕事の通知を制限
- 週末・休日:会社回線をオフ
- 長期休暇:会社回線をオフ
柔軟に調整 自分のワークライフバランスに合わせて、設定を調整してください。
プライバシー保護の設定
会社回線と個人回線を併用する際、プライバシーを保護する方法です。
データ通信を個人回線に設定
最も重要な設定 モバイルデータ通信を個人回線に設定することで、インターネット通信の内容が会社に把握されません。
設定方法(前述) 設定 > モバイル通信 > モバイルデータ通信 > 個人
効果
- Web閲覧履歴
- アプリの使用状況
- 動画視聴、SNS投稿など
すべてが個人回線を経由し、会社に知られません。
モバイルデータ通信の切り替えを許可:オフ
設定 設定 > モバイル通信 > 会社回線 > モバイルデータ通信の切り替えを許可 をオフ
効果 通話中に、会社回線でデータ通信が行われません。
理由 通話中にもう一方の回線(会社回線)でデータ通信すると、その通信内容が会社に記録される可能性があります。
iMessageとFaceTimeを個人回線に設定
設定方法
- 設定 > メッセージ
- iMessage送受信で、個人回線を使用するよう設定
同様に 設定 > FaceTime でも個人回線を設定
効果 iMessageやFaceTimeの通信が個人回線を経由します。
会社のMDM(モバイルデバイス管理)を確認
MDMとは 会社がiPhoneを管理するためのシステムです。
確認方法 設定 > 一般 > VPNとデバイス管理
MDMプロファイルがある場合 会社がiPhoneの設定を一部管理している可能性があります。
影響
- アプリのインストール制限
- 位置情報の追跡
- デバイスのリモートワイプ(遠隔消去)
プライバシーへの影響 MDMの範囲により異なります。会社のIT部門に確認してください。
個人所有のiPhoneの場合 MDMプロファイルのインストールを拒否することも選択肢です(ただし、会社のポリシーによります)。
位置情報サービスの管理
設定 設定 > プライバシーとセキュリティ > 位置情報サービス
アプリごとの設定 仕事関連のアプリ(会社のメールアプリなど)の位置情報アクセスを制限します。
選択肢
- 許可しない
- 次回または共有時に確認
- このAppの使用中のみ許可
推奨 仕事関連のアプリには「使用中のみ許可」または「許可しない」
アプリのアクセス許可を確認
会社のアプリ 会社から提供されたアプリ(メール、チャット、VPNなど)のアクセス許可を確認します。
確認項目
- 連絡先へのアクセス
- 写真へのアクセス
- カメラ、マイクへのアクセス
- 位置情報
制限 必要最小限の許可に留めます。
VPN使用時の注意
会社のVPN 会社のVPNを使用すると、すべての通信が会社のネットワークを経由します。
プライバシーへの影響 VPN経由の通信は、会社に把握される可能性があります。
対策
- 仕事関連のアクセスのみVPNを使用
- プライベートのWeb閲覧時はVPNをオフ
通話記録のプライバシー
会社回線の通話 会社回線での通話は、会社の記録に残ります(通話先、時刻、通話時間など)。
プライバシー保護 プライベートな通話は、必ず個人回線を使用してください。
総合的なプライバシー戦略
基本方針
- データ通信:個人回線
- プライベート通話:個人回線
- 仕事通話:会社回線
- 仕事関連アプリ:最小限のアクセス許可
これにより、プライバシーを最大限保護できます。
トラブルシューティング
よくあるトラブルと解決法
主回線設定やデュアルSIM使用時のトラブルと解決法です。
トラブル1:設定を変更したのに反映されない
症状 主回線を個人に変更したが、発信時に会社回線が使われる。
原因と解決法
原因1:連絡先に優先回線が設定されている
- 連絡先の優先回線設定が、デフォルトより優先される
- 解決:連絡先アプリで優先回線を確認・変更
原因2:キャッシュの問題
- 設定が即座に反映されないことがある
- 解決:iPhoneを再起動
原因3:発信時に手動で選択している
- 発信ボタンを長押しして回線を選択している
- 解決:通常通りタップすれば、デフォルト回線が使用される
トラブル2:個人回線でデータ通信できない
症状 モバイルデータ通信を個人回線に設定したが、インターネットに繋がらない。
原因と解決法
原因1:個人回線がオフ
- 解決:設定 > モバイル通信 > 個人 > この回線をオンにする
原因2:データ容量超過
- 個人回線の契約データ容量を使い切った
- 解決:データを追加購入、または会社回線に切り替え
原因3:APN設定
- APN(アクセスポイント名)が正しく設定されていない
- 解決:キャリアの指示に従ってAPN設定を確認
原因4:機内モード
- 機内モードがオンになっている
- 解決:機内モードをオフ
トラブル3:会社回線をオフにしても着信する
症状 会社回線をオフにしたはずなのに、会社からの電話が鳴る。
原因と解決法
原因:実はオフになっていない
- 設定を確認:設定 > モバイル通信 > 会社 > この回線をオンにする がオフか確認
または
- 実は個人回線にかかってきている
- 着信時の表示で回線名を確認
トラブル4:通話中にデータ通信できない
症状 個人回線で通話中、インターネットが使えない。
原因と解決法
原因:「モバイルデータ通信の切り替えを許可」がオフ
- 解決:設定 > モバイル通信 > 会社回線 > モバイルデータ通信の切り替えを許可 をオン
注意 オンにすると、通話中に会社回線でデータ通信が行われる可能性があります(プライバシーへの影響を考慮)。
トラブル5:発信時に回線を選択できない
症状 発信ボタンを長押ししても、回線選択の画面が出ない。
原因と解決法
原因1:デュアルSIMが設定されていない
- 実は2つの回線が設定されていない
- 解決:設定 > モバイル通信 で両方の回線が表示されるか確認
原因2:長押しが短い
- しっかり長押し(1秒以上)してください
原因3:iOS のバージョンが古い
- 解決:最新のiOSにアップデート
トラブル6:eSIMが認識されない
症状 個人回線(eSIM)を追加したが、iPhoneが認識しない。
解決法
1. QRコードを再スキャン
- 正しいQRコードか確認
- 明るい場所で再スキャン
2. 手動入力
- キャリアから提供されたアクティベーションコードを手動入力
3. キャリア設定をアップデート
- 設定 > 一般 > 情報 で数秒待つ
- アップデート通知が表示されたらアップデート
4. iOSを最新版にアップデート
- 設定 > 一般 > ソフトウェアアップデート
5. iPhoneを再起動
6. キャリアに問い合わせ
- eSIMプロファイルに問題がある可能性
トラブル7:バッテリー消費が激しい
症状 デュアルSIMを使い始めてから、バッテリーの減りが早い。
原因と解決法
原因1:両方の回線が常に待ち受け
- 2つの回線を維持するため、電力消費が増える
- 解決:使わない回線(例:会社回線)をオフにする
原因2:5Gの使用
- 5G通信は電力消費が大きい
- 解決:5Gをオフにして4Gのみ使用(設定 > モバイル通信 > 各回線 > 音声通話とデータ > 4G)
原因3:通信エリアの境界
- 電波が弱い場所で、iPhoneが電波を探し続ける
- 解決:電波が良い場所に移動、または機内モード
トラブル8:どちらの回線を使っているか分からない
症状 データ通信や通話で、どちらの回線を使っているか不明。
解決法
データ通信 設定 > モバイル通信 > モバイルデータ通信 で確認
通話中 通話中、画面上部に「会社で通話中」または「個人で通話中」と表示されます。
着信履歴 電話アプリの履歴で、各着信の右側に小さく回線名が表示されています。
設定のリセット方法
デュアルSIMの設定をリセットして、初期状態に戻す方法です。
ネットワーク設定をリセット
機能 モバイル通信、Wi-Fi、Bluetooth、VPNなどの設定をリセットします。
注意
- Wi-Fiのパスワードが削除される
- VPN設定が削除される
- モバイル通信の設定が初期化される
手順
- 設定アプリを開く
- 一般をタップ
- 転送またはiPhoneをリセットをタップ
- リセットをタップ
- ネットワーク設定をリセットをタップ
- パスコードを入力
- 確認して実行
効果
- デュアルSIMの設定がリセットされる(回線自体は残る)
- デフォルトの音声回線、モバイルデータ通信などの設定が初期化
再設定が必要 リセット後、再度デフォルトの音声回線やモバイルデータ通信を設定してください。
eSIMプロファイルを削除
機能 eSIM回線自体を削除します。
注意
- 回線が完全に削除される
- 再度追加するには、キャリアからQRコードを再発行してもらう必要がある
手順
- 設定アプリを開く
- モバイル通信をタップ
- 削除したい回線(例:会社回線)をタップ
- モバイル通信プランを削除をタップ
- 確認して削除
用途
- 退職時に会社のeSIMを削除
- 不要になった回線を削除
物理SIMの取り外し
物理SIMを削除 SIMトレイを開けて、物理SIMカードを取り出します。
手順
- iPhoneの電源を切る
- SIMトレイをSIMピン(またはクリップ)で押して開く
- 物理SIMを取り出す
- SIMトレイを閉じる
用途
- 退職時に会社のSIMカードを返却
- 回線を完全に停止
すべての設定をリセット
最終手段 iPhoneのすべての設定をリセットしますが、データは削除されません。
手順 設定 > 一般 > 転送またはiPhoneをリセット > リセット > すべての設定をリセット
影響
- デュアルSIM設定を含む、すべての設定が初期化
- 写真、アプリ、データは削除されない
iPhoneを初期化(工場出荷状態)
完全リセット すべてのデータと設定を削除し、工場出荷状態に戻します。
注意
- すべてのデータが削除される
- 事前にバックアップ必須
手順 設定 > 一般 > 転送またはiPhoneをリセット > すべてのコンテンツと設定を消去
用途
- iPhoneを売却、譲渡する前
- 完全に初期状態に戻したい場合
iPhone主回線個人まとめ
デュアルSIM活用の総合ガイド
今回はiPhoneの主回線を個人にする設定について詳しく解説しました。以下に要点をまとめます。
・主回線とは実際にはデフォルトの音声回線とモバイルデータ通信の設定を指す
・主回線を個人にすることでプライバシーが保護されデータ通信が会社に知られない
・モバイルデータ通信を個人回線に設定すればインターネット通信が個人回線経由になる
・デフォルトの音声回線を個人にすれば通話発信時に自動的に個人回線が使われる
・両方の回線で着信は可能で主回線設定に関わらず双方で電話を受けられる
・連絡先ごとに優先回線を設定すれば仕事関連は会社回線で自動発信できる
・発信ボタンを長押しすれば発信時に毎回どちらの回線を使うか選択できる
・会社回線をオフにすれば勤務時間外の着信を完全に遮断できる
・集中モードを活用すれば通知を制限しつつ緊急時には対応可能である
・モバイルデータ通信の切り替え許可をオフにすれば通話中の会社回線使用を防げる
・iMessageとFaceTimeも個人回線に設定すればプライバシーを保護できる
・会社のMDMプロファイルがあればiPhoneが部分的に管理されている可能性がある
・推奨設定はデータ通信を個人音声通話は状況に応じて使い分けである
・ネットワーク設定のリセットで設定を初期化できるがWi-Fiパスワードも削除される
・退職時はeSIMプロファイルの削除または物理SIMの返却が必要である
iPhoneのデュアルSIM機能で会社回線と個人回線を併用する際、「主回線」をどちらに設定するかは、プライバシー保護と利便性のバランスを考える上で非常に重要です。iPhoneでは「主回線」という固定的な概念はなく、実際にはデフォルトの音声回線(通話発信時に使用される回線)とモバイルデータ通信(インターネット接続に使用される回線)を個別に設定でき、これらを総称して主回線と呼びます。主回線を個人にする最大のメリットはプライバシー保護で、モバイルデータ通信を個人回線に設定すれば、Web閲覧履歴、アプリ使用状況、動画視聴、SNS投稿などすべてのインターネット通信が個人回線を経由し、会社に把握されることがありません。設定方法は、設定>モバイル通信>モバイルデータ通信から個人回線を選択し、同様にデフォルトの音声回線も個人回線を選択すれば、通話発信時も自動的に個人回線が使用されます。ただし、どちらを主回線に設定しても、両方の回線で着信は可能で、会社回線にかかってきた電話は会社回線で、個人回線にかかってきた電話は個人回線で着信するため、設定によって着信が制限されることはありません。実用的な使い分けとしては、仕事関連の連絡先には優先回線として会社回線を設定しておけば、その連絡先への発信時は自動的に会社回線が使われるため、取引先には常に会社の番号が通知され、一方でプライベートな連絡先には優先回線を個人に設定すれば、友人や家族への発信は個人回線からとなり、使い分けが自動化されます。発信時に回線を手動で選択したい場合は、電話アプリで発信ボタンを1秒以上長押しすると「会社で発信」「個人で発信」の選択肢が表示され、その場で回線を選べます。勤務時間外のプライバシー確保については、設定>モバイル通信>会社回線>この回線をオンにするをオフにすれば、会社回線での着信と発信が完全に遮断され、個人回線のみが動作する状態になり、退勤後や週末・休日に完全に仕事から離れることができます。より柔軟な管理としては、集中モード(おやすみモード)を活用し、仕事関連の連絡先からの通知のみを制限しつつ、緊急時には「繰り返しの着信」機能で3分以内に2回目の着信があれば通知されるよう設定すれば、ワークライフバランスと緊急時の対応を両立できます。プライバシー保護を徹底するには、モバイルデータ通信を個人回線に設定するだけでなく、設定>モバイル通信>会社回線>モバイルデータ通信の切り替えを許可をオフにすることで、通話中に会社回線でデータ通信が行われることを防ぎ、さらにiMessageとFaceTimeも個人回線に設定し、会社のMDMプロファイル(設定>一般>VPNとデバイス管理で確認可能)の有無を確認して、会社がiPhoneをどの程度管理しているか把握することが重要です。推奨される設定は、データ通信を個人回線(プライバシー保護)、デフォルトの音声回線は状況に応じて(仕事中心なら会社、プライベート中心なら個人)という組み合わせで、重要な仕事関連の連絡先には優先回線を会社に設定しておけば、自動的に適切な回線が使用され、間違えるリスクがありません。トラブル対応としては、設定を変更したのに反映されない場合はiPhoneの再起動、データ通信ができない場合は回線がオンか確認、通話中にデータ通信できない場合は「切り替えを許可」をオンにする、バッテリー消費が激しい場合は使わない回線をオフにするなどの対処法があり、最終手段としてはネットワーク設定のリセット(Wi-Fiパスワードが削除される点に注意)を試します。退職時の処理としては、会社のeSIM回線を削除(設定>モバイル通信>会社回線>モバイル通信プランを削除)するか、物理SIMの場合はSIMカードを取り出して会社に返却し、個人回線のみでiPhoneを継続使用できます。
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